一般相対性理論の話に入るにあたり、モチベーションを示しておく。
かねてより水星の近日点移動の観測にはニュートンの万有引力による歳差のほかに残り43秒角/100年の説明のつかない移動があった。[1]
水星付近に未発見の惑星(バルカンと仮称された)を探索する試みも難航し、日食時での数度の観測により完全な失敗に終わった。アドホックな仮定が置かれては棄却され、このずれを説明する理論が求められていた。
しかしながらニュートンの重力理論はわずかにずれを起こしたとしても非常に多くの現象を説明できる。新理論にはそれとの整合性が求められる。つまり、新理論はニュートンの重力理論が通用していた範囲で導かれる結果と大幅にずれてはならない。
太陽系程度の重力環境では、新理論はニュートンの重力理論に極めて近い結果を導く必要がある。この要請を「弱重力極限がニュートンの重力理論に一致する」という。[2]
具体的に言えば、新理論の重力場方程式は弱重力極限がニュートンの重力場方程式 (2物体間の重力の方程式ではなく重力場の方程式であることに注意する)に一致するはずである。
アインシュタインはすでに特殊相対性理論を発表していた。
新理論でも、一定の場合には特殊相対性理論と同じ結果が成り立つはずである。具体的には、重力場中で局所的に慣性系を取ると、その局所慣性系では特殊相対性理論に漸近するはずである。
一般相対性理論では、曲がった空間が局所的には平坦であることから説明される。
アインシュタインは「重力加速度と同じ大きさの加速度で天使が引っ張るエレベーター」の思考実験で、
① 加速度としては重力によるものと区別不能である
② ただし、地球の中心に向かって落下していく本物の重力と、常に平行に働くエレベーター内の加速度とはその方向において異なる
ことが要請されることに気づいていた。
②に関しては、自由落下中でも同じことがいえる。
一般相対性理論では、このことによって時空の曲率を扱う必要がある。重力はゆがんだ方向にかかる加速度であり、自由落下する物体は重力の中心へと近づいていく。
[1] https://astro-dic.jp/perihelion-shift/ [2] https://www.phys.cs.i.nagoya-u.ac.jp/~tanimura/math-phys/mathphys-6-3.pdf